政府が年次計画の「サイバーセキュリティ2016」を決定

     

政府が年次計画の「サイバーセキュリティ2016」を決定

先月8月31日に政府がサイバーセキュリティ戦略本部第9回目の会合を開催し、サイバーセキュリティの年次計画である「サイバーセキュリティ2016」の方針を固めました。

サイバーセキュリティ基本法に基づいて、政府が閣議決定したサイバーセキュリティ戦略を踏まえて策定しています。今年度は2回目の開催となり、今年の6月に開催したパブリックコメントで見直しを行った意見も踏まえて同計画を決定致しました。

政府が年次計画の「サイバーセキュリティ2016」を決定

サイバーセキュリティ基本法とは

2015年に施行されたサイバーセキュリティ基本法は、日本のサイバーセキュリティの基本方針となる基礎の法律です。


サイバーセキュリティ基本法が制定された背景には、ネットワーク社会の進展に伴い、不正アクセスや企業による個人情報の漏洩、または情報の悪用が近年増加しており、技術情報、個人情報の漏えいが相次ぐようになりました。


また、安全保障的にも国家に属する組織と思われる相手からの政府機関や重要インフラへのサイバー攻撃の激化からその対応の必要性も含まれています。

サイバーセキュリティ基本法とは

サイバーセキュリティ基本法の要点

サイバーセキュリティ基本法では、国が定めた法律において、国としてどの様にサイバーセキュリティ政策を進めていくかが規定されています。

本法では、サイバーセキュリティの定義、国・地方公共団体、または企業が果たす債務、教育機関の債務、国民の努力、サイバーセキュリティ戦略本部の設置が規定されています。

1、国家、地方公共団体、企業が果たすべき役割について
国、地方自治体などの行政面が果たすべき責務やガスや電力などの社会基盤インフラ事業者の果たすべき責務、IT関連に関わる事業者、一般事業者の果たすべき責務がそれぞれサイバーセキュリティ基本法で定められています。

基本的には自主努力とし、行政の施策に協力するように本法では定められています。

2、教育機関が果たすべき役割
教育機関へは、サイバーセキュリティに関する研究促進とセキュリティを担う人材の育成について定めています。


経済産業省の調べによると現在、日本ではセキュリティ人材が数万人以上不足しており、東京オリンピックが開催される2020年までには最大で約19万人ものセキュリティ人材の不足が予想されています。


3、国民がすべき努力
国民は、サイバーセキュリティの重要性に対する理解と関心を深めることを求めています。

4、サイバーセキュリティ戦略の設定と戦略本部の設置
サイバーセキュリティ戦略を定め、内閣官房長官を本部長としたサイバーセキュリティ戦略本部の設置が定められています。

これにより、国家レベルでのサイバーセキュリティ対策強化とその他、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部及び国家安全保障会議などの関係各省庁と連携したサイバーセキュティ対策を指揮することとなります。

サイバーセキュリティ基本法の要点

「サイバーセキュリティ2016」の決定事項

今後の継続的な経済発展に向けたセキュリティ施策をはじめとした、「安全なIoTシステムの創出」を目指す事や経営者のセキュリティに対する意識改革や人材育成を踏まえたセキュリティマインドを持った企業経営の推進、民間のセキュリティ関連産業の振興などを盛り込みました。


その他、国民や社会のサイバー空間の安全確保を目指したセキュリティ知識の普及やサイバーセキュリティに関する啓蒙活動、国際平和や安全保障までの幅広い分野を各省庁での取り組みを進めるほか、サイバーセキュリティに関する研究開発や人材育成の取り組みを推進していく事が決まりました。

「サイバーセキュリティ2016」の決定事項